河合弘之・海渡雄一インタビューから
14/10/10
二人の弁護士・海渡弁護士は共に闘う盟友
<河合>海渡との出会いね……。僕は元々金権弁護士だったし(笑)、接点はなかったなぁ。名前くらいは知ってたけど。最初の出会いはね、僕が脱原発の世界に入っていった時に、高木仁三郎さんの原子力資料室ですれ違ってる。海渡はその資料室に出入りする弁護士で、今から20年位前に、フクイチ3号機のプルサーマル使用禁止の仮処分申請を起こしたんですよ。それを手伝ってくださいと彼が言ってきた。なんとかいう嫌な弁護士がいて怒鳴ったりする。彼は怒鳴り返したりするのが苦手なんだって。僕はそういうの全然平気だから、じゃあ、僕が用心棒で行ってやるって言ったんですよ。でも、なんであの裁判を手伝ってと言ってきたの? 高木さんに言われたとか?
<海渡>なに言ってるんですか?河合さんが自分で手伝いたいから何かあったら声掛けてって言われたんですよ。やだなぁ。忘れちゃったんですか?
<河合>え?そうだったけ?まあ、いいや。それでね、その仮処分裁判、プルサーマルMOX燃料は製品精度にばらつきがあるし、実際にペレットの製造過程で不正があったりしたのを暴いて、これは行けると思ってたのに、ボロ負けしたんですよ。
その会見でね、海渡は負けましたというのかと思ってたら、その場でばぁーっと判決文を読んで「あ!ここだ!!」って言ったんだ。膨大な判決文を、記者会見の前に物凄い勢いで集中して読んで「危険な原発を扱う事業者として、データ隠しをするということはいかがなものかと思われる」という一行を見つけて、記者会見ではそこを強調したんだ。「裁判所は判決でデータ隠しをこう認めている」って言ったんだけど、何ページもある判決文からその場で有利なことを見つけるなんて、それは簡単なことじゃないんだ。すごい集中力なんだよ。それで、しかもその1行を見つけた後、それをすぐに県庁に持って行って、データ隠しのことを説明して、それでプルサーマルは10年遅れたんですよ。
こっちが負けたのに…。僕は、それみてて「すげー集中力と能力あるな」って思って。その時から信頼してるんだ。
――河合は、海渡不在の別の機会に、都知事選で二人が分裂して闘ったことを踏まえてこうも言っている。
あいつは、本当にまじめでいいやつなんだ。しかも、本当に実力があるんだよ。俺の闘いはあいつなしでは成立しないんだ。この映画みててもそうだってわかるでしょ?
僕が中味を言って、実際のシナリオを書くのはあいつだ。僕がこの裁判を起こそうって言って立ち上げて、実際に訴状を書きあげるのはあいつで、浜岡原発も、大間原発もそうだし、全部、そうですよ。僕が火をつけて、あいつが後ろからフォローする。
たとえ、この映画がなくても(都知事選では敵対したが)僕が海渡と袂を分かつことは許されない。やつもわかってるんですよ。二人の関係を一言でいうのは難しいねぇ。いうとすれば、文字通りの<シナジー効果(相乗効果)>だね。強烈なシナジー効果だから、別れられない。苦楽を共にしてるから。友情も生まれちゃうよね。