超映画批評:前田有一氏
17/02/28
またまた高得点! 75点(100点満点中)
「変化を体感できるドキュメンタリー映画ほど観客が熱中するものはない。まして社会そのものを変える意欲に満ちた映画ともなればその興奮たるや想像に余りあるが、日本でそこまでの影響力を映画が持つことは少ない。その、数少ない映画の一つになろうというのが、反原発訴訟の中心弁護士、河合弘之監督による作品群である。
その3作目となる本作は、これまでの脱原発に加えてその代案としての「自然エネルギー」を徹底的に分析する。批判だけならだれでもできる、では原発をなくしたあとの未来はどうあるべきか。それが監督が描こうと試みた主題である。
この手の反原発モノは腐るほどあるから、いいかげん見る側も飽き飽きしているかもしれないが、さすがは異業種監督。この映画は最初の1秒目から、凡百の反原発映画との違いを見せつける。いきなりとんでもない宣言を観客にたたきつけ、仰天させる。
観客はこれで一気にこの監督に好感を抱くと同時に、通常ならば伏せたいホンネをいきなりさらけだすさまを見て、彼のとてつもない自信に圧倒されるだろう。この映画を作った男たちは、自分たちの持つ情報、論理に圧倒的な自信を持っている。最初の1秒でそれを知らせてくる。」
(抜粋:「超映画批評」/『日本と再生 光と風のギガワット作戦』/「取り残されてゆく日本」