映画「日本と原発」Kプロジェクト 緊急声明
15/07/16
戦争法案の衆議院強行採決に抗議する!
7月16日、衆議院本会議において、「安全保障関連法案」=戦争法案が与党のみによる賛成多数で強行採決され、参議院に送付されました。
私たちは、福島原発事故の隠された真実を明らかにするために、映画「日本と原発」を製作しました。福島原発事故では、メルトダウンの事実、スピーディの情報、浪江町請戸の浜の隠された悲劇、3月15日の朝には原子炉が管理を放棄された状態になっていたこと、事故直後から汚染水漏れが続いていた事実など、私たちの生命に直接つながる情報が政府によって秘匿されました。この映画は、このような隠された情報を明らかにすることを第一の目的として製作されました。
2013年末には秘密保護法が制定されました。戦争が政府のウソから引き起こされてきたことは明らかです。満州事変(柳条湖事件)もベトナム戦争(トンキン湾事件)もイラク戦争(大量破壊兵器疑惑事件)も、すべて政府のウソから戦争が始められたものでした。
これまでは、日本が武力を行使して戦争に参加できるのは、個別的自衛権の行使として、日本に対する武力攻撃が発生した武力攻撃事態の場合だけとされてきました。しかし、戦争法案により、日本は、「武力攻撃事態」に加え、「存立危機事態」(武力攻撃事態法改正案第2条4号)においても武力を行使して戦争に参加することができるようになります(自衛隊法改正法案第76条2号)。日本に対する武力攻撃が発生していなくても、日本と密接な関係にあるアメリカなどに対する攻撃が行われていれば、日本は集団的自衛権の行使として武力を行使し、戦争に参加することができるとされています。このような法律を作れば、日本も、アメリカを憎むテロリストたちの標的にされかねません。
この法案に対しては、全国の憲法学者・研究者の9割以上が憲法違反との意見を述べ、日弁連をはじめ全国の弁護士会も憲法違反を理由に法案の撤回・廃案を求めています。マスコミの世論調査によれば、国民の約6割が反対を表明し、約8割が「説明不足」だとしています。
戦争法案では、武力行使などの要件として「存立危機事態」や「重要影響事態」が定められています。しかし、どのような事実に基づいてその要件に当てはまると認定するかについて、市民・国会議員がその根拠となる事実の存否を判断するために必要な情報が、秘密保護法によって特定秘密に指定される危険があります。安部首相も、これらの情報が秘密指定される可能性を認めています。これらの情報が市民にも国会にも公開されないまま、政府が恣意的に作り出した情報に基づいて、戦争への参加が決定されてしまう危険性が高いのです。
私たちは、映画「日本と原発」の製作を行った者として、福島原発事故を引き起こし、そのことを反省もせずに原発の再稼働に突き進む安倍政権が推し進める戦争法案は、憲法第9条の平和主義と立憲主義の原理にも反し、秘密保護法により情報と言論の統制が行われる中で戦争法が施行されることとなれば、私たちの生命に重大な危険をもたらす可能性があると考えます。
参議院の審議においては、多くの市民の意思を尊重し、慎重な審議を行うこととし、政府及び与党による強行採決や60日ルールによる衆議院における再議決などは断じて許されません。私たちは、憲法9条の恒久平和主義に違反し、立憲主義・国民主権をないがしろにする戦争法案に強く反対し、政府および国会に対して同法案を即刻廃案するように求めます。
2015年7月16日
映画「日本と原発」
監督 河合 弘之
構成・監修 海渡 雄一
制作協力 木村 結
(Kプロジェクト)